店舗づくりコラム
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26:店舗レイアウトの設計法則
目次
店舗レイアウトの設計法則|店舗デザイン・設計・施工で決まる空間配分の考え方
「図面を見せてもらったけれど、この配置で本当にいいのか判断できない」――店舗デザイン・設計・施工のご相談で、とくに多くいただくお悩みです。店舗レイアウトとは、客席・厨房・バックヤードといった空間の役割をどこに、どれだけの広さで配置するかを決める作業です。内装の色や素材は開業後にも手を入れられますが、レイアウトは壁や設備の位置と結びついているため、後から変えるには大きな工事と費用が必要になります。だからこそ、図面の段階で押さえておきたい考え方があります。この記事では、初めて店舗開業を検討されるオーナー様に向けて、レイアウトを組み立てるときの基本となる法則を、具体的な検討ポイントとあわせてわかりやすく解説します。
店舗レイアウトとは何か|店舗デザイン・設計・施工における「配置を決める設計」
はじめに、店舗レイアウトという言葉が指す範囲を整理しておきましょう。店舗デザイン・設計・施工の工程のうち、デザインが「どんな雰囲気の空間にするか」を決めるものだとすれば、レイアウトは「どこに何を、どれだけの広さで置くか」を決めるものです。入口の位置、客席の並び、厨房の広さ、トイレやバックヤードの場所。これらの配置の集合体が、お店の使い勝手そのものを形づくります。
レイアウトが重要なのは、それが「後から変えにくい」性質を持っているからです。壁紙や照明器具、家具は比較的手を入れやすい部分ですが、厨房の位置は給排水管や排気ダクトの経路と、トイレの位置は排水の勾配と結びついています。客席を数席増やしたいと思っても、通路幅や避難経路の確保が絡むため、単純な足し算では済みません。つまりレイアウトは、開業後の営業のしやすさを何年にもわたって左右する「土台」にあたる部分なのです。
もう一つ知っておきたいのは、レイアウトが売上とコストの両方に影響するという点です。客席の配置は席数と客単価に、厨房の広さは提供スピードに、バックヤードの確保はスタッフの働きやすさに関わります。同時に、給排水や電気の位置を大きく動かすレイアウトは工事費が上がりやすく、逆に建物の条件に沿った配置であれば費用を抑えやすくなります。デザインの見た目だけでレイアウトを決めてしまうと、施工段階で「この配置では設備が入らない」と判明し、計画のやり直しが生じることもあります。
私たちアースラインでは、23年以上の実績の中で、重飲食(ラーメン・焼肉など設備負荷の高い業態)から高級飲食店まで幅広い店舗を手がけてきました。その経験から、レイアウトはデザイン・設計・施工の三つの視点を同時に持ちながら詰めていくべき部分だと考えています。設計と施工を自社で一貫して管理する体制は、図面上の美しさと現場での実現性を早い段階ですり合わせるうえで大きな意味を持ちます。
法則1:面積配分から考える|客席・厨房・バックヤードのバランス
レイアウトを考えるとき、最初に取り組みたいのが面積配分です。いきなり「テーブルをどこに置くか」から始めるのではなく、限られた床面積を大きく三つ――客席、厨房(サービス提供の場)、バックヤード――に分けるところから始めると、全体像がぶれにくくなります。
■ 客席面積は「席数×一席あたりの広さ」で見積もる
客席に必要な面積は、単純に席数だけでは決まりません。一席あたりに必要な広さは、業態や客単価、想定する滞在時間によって変わります。短時間の利用を想定するカウンター中心の業態と、ゆったりと過ごしていただく高級飲食店とでは、同じ席数でも必要な面積は大きく異なります。また、席そのものの面積だけでなく、その席にたどり着くための通路や、椅子を引くための余地も含めて考えることが実務的です。想定する客単価と過ごし方から先に「一席あたりにどれだけの広さを充てるか」の方針を決めておくと、無理のない席数が導き出せます。
■ 厨房面積は業態で大きく変わる
厨房に必要な広さは、提供するメニューと調理方法によって大きく異なります。ドリンクと軽食が中心の業態では比較的コンパクトに収まりますが、揚げ物や炒め物、焼き物を扱う重飲食では、機器の台数も作業スペースも増えるため、店舗全体のなかで大きな割合を占めることもあります。客席を増やしたい一心で厨房を削ると、ピークタイムに提供が追いつかず、結果的に売上の機会を逃してしまうことがあります。厨房内部の詳しい組み立て方については、あらためて別の記事で解説します。
■ 見落とされやすいバックヤード
意外に忘れられやすいのが、バックヤードです。従業員の更衣スペース、食材や備品の保管場所、清掃用具置き場、ゴミの一時保管場所、事務スペース。これらは売上を生まない面積であるため後回しにされがちですが、確保できていないと、通路に段ボールが積まれたり、客席の一部が物置になったりと、空間の質を損なう原因になります。開業後に「置き場所がない」と気づいても増設は難しいため、計画段階で必要な収納量を洗い出しておくことをおすすめします。
法則2:ゾーニングで役割を分ける|入口から奥までの流れをつくる
面積配分の見通しが立ったら、次はゾーニングです。ゾーニングとは、空間をいくつかの区画に分け、それぞれの役割を割り当てる作業を指します。ここで意識したいのは、お客様が入店してから退店するまでの体験を、一本の流れとして組み立てることです。
■ お客様が通る場所と、スタッフが働く場所を整理する
店舗の空間は、大きく「お客様が立ち入る領域」と「スタッフだけが使う領域」に分かれます。この二つが不用意に混ざると、配膳中のスタッフとお客様がすれ違いにくくなったり、厨房の作業音や雑然とした様子が客席から見えてしまったりします。入口・待合・客席・トイレはお客様の領域、厨房・洗い場・バックヤードはスタッフの領域として整理し、その接点となる配膳の出入口をどこに設けるかを検討すると、全体の骨格が見えてきます。動線の基本的な考え方については、関連記事「座席数と動線で売上を最大化する方法」でも詳しく解説しています。
■ 入口まわりに「ゆとり」を確保する
入口の内側は、レイアウトのなかでも負荷が集中しやすい場所です。入店するお客様、会計をするお客様、退店するお客様、待っているお客様が同じ場所に重なるためです。ここが窮屈だと、外から見たときに「混んでいて入りづらい」印象を与えてしまうこともあります。レジや待合のスペースを入口のすぐ横に少し広めに取っておくと、流れが滞りにくくなります。
■ 席種をゾーンごとに配置する
席の種類を場所ごとに変えると、さまざまな利用シーンに対応しやすくなります。たとえば、窓際や入口近くには一人客や短時間利用に向いたカウンター席やスツール席を、奥まった落ち着いた場所にはグループや長時間の利用に向いたテーブル席や半個室を配置する、といった考え方です。窓際や入口付近の席を適度に活用すると、外から店内の賑わいが伝わりやすくなる場合もあります。
■ トイレの位置は早い段階で決める
トイレは、排水の経路という技術的な制約と、客席から見えない配慮という設計上の要望の両方が関わる部分です。客席の真正面や、料理を提供するカウンターのすぐ横に扉が来ると、居心地に影響することがあります。一方で、排水管の位置から離れた場所に移すと、床を上げる工事が必要になり費用が増える場合もあります。早い段階で位置の候補を検討しておきたい要素です。
法則3:寸法をどう考えるか|通路幅・テーブル間隔・カウンター寸法の決め方
ゾーニングが固まったら、次は寸法の検討です。図面は縮尺で描かれているため、紙の上では十分に見えても、実際に立ってみると窮屈だったということが起こります。ここで大切なのは、一般的な寸法をそのまま当てはめるのではなく、「そこで人がどう動くか」から考えることです。
■ 適切な寸法は、条件によって変わる
通路幅やテーブル間隔、カウンターの寸法は、業態や席数、提供方法、バリアフリーへの対応、避難計画などによって適切な数値が変わります。同じ四人掛けのテーブルでも、大皿を複数並べる業態と、一人分ずつ提供する業態とでは必要な天板の広さが違います。通路も、スタッフがトレーを持って行き来する場所と、お客様が席に着くまでに一度通るだけの場所とでは、求められる余裕が異なります。一般的な寸法の情報だけで決めるのではなく、お客様とスタッフが実際にどのように動くかを想定しながら、法令・条例や建物条件も確認して設計することが大切です。
■ 「人の動作」を基準に検討する
寸法を考えるときは、その場所で起こる動作を具体的に思い浮かべると判断しやすくなります。椅子を引いて立ち上がる、その後ろをスタッフが通る、荷物やコートを置く、料理を配膳する、食器を下げる。こうした動作が重なる場所ほど、余裕が必要になります。逆に、動作の少ない場所は詰めても支障が出にくいものです。すべての通路を同じ幅にするのではなく、動きの多い場所に余裕を配分するという考え方が、限られた面積を活かすことにつながります。
■ 席数と快適性のバランスを見極める
席数を増やせば売上の上限は上がりますが、寸法を詰めすぎると居心地が損なわれ、提供スピードにも影響します。どこまで詰めるかは、想定する客単価と滞在時間によって判断が変わる部分です。席数と動線のバランスについては、関連記事「座席数と動線で売上を最大化する方法」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
■ 飲食店以外の業態で意識したいこと
美容室では、セット面(施術用の鏡と椅子の一式)の間隔が施術のしやすさを左右します。スタイリストが左右に動く余地と、後ろを人が通る余地の両方を見込む必要があるため、席数を優先しすぎると窮屈な印象になりやすい業態です。物販店舗では、什器(商品を陳列する棚やラック)の間隔がお客様の買い回りやすさに関わります。カートやベビーカーの利用が想定される場合は、より広い通路が求められます。
寸法は、図面上の数字としてではなく、実際の空間としてイメージできることが理想です。私たちアースラインでは、打ち合わせの際に既存の施工事例をご覧いただきながら、寸法の感覚を共有するようにしています。実際の空間の雰囲気は施工事例ページでもご確認いただけます。
法則4:建物の条件に合わせる|動かせない要素からレイアウトを組み立てる
最後の法則は、建物側の条件を出発点にすることです。理想のレイアウトを描いても、物件の構造や設備の位置によっては実現できない場合があります。動かせない条件を先に把握し、そこに合わせて配置を組み立てるほうが、結果的に無理のない計画になります。
■ 柱・梁・天井高という構造の条件
建物を支える柱や梁は、原則として動かせません。フロアの中央に柱がある物件では、その柱をどう扱うかがレイアウトの分かれ目になります。カウンターの端部として活かす、飾り棚を巻き付ける、パーティションの起点にするなど、制約を空間の個性に変える工夫が可能です。また、梁の下は天井が低くなるため、その位置に立ち上がる動作の多い場所を配置すると圧迫感が出やすくなります。
■ 給排水・排気・電気の位置
厨房やトイレの位置は、給排水管の引き込み位置と排水の勾配に大きく左右されます。排水は基本的に水が流れる勾配を確保する必要があるため、既存の配管から離れた場所に水まわりを設けると、床を上げる工事が必要になることがあります。また、煙や臭気を多く出す業態では、排気ダクトを建物のどのルートで屋外まで通せるかが、厨房の位置を実質的に決めることも少なくありません。電気やガスの容量も、物件によって上限が異なります。
■ 消防・避難に関わる条件
店舗のレイアウトは、消防設備や避難経路に関する取り決めとも関係します。スプリンクラーや誘導灯の位置、避難に必要な通路の確保、内装に使える仕上げ材の制限など、確認しておきたい項目は複数あります。必要な対応は、建物の規模や用途、階数、地域の条例などによって異なります。レイアウトを固める前に、物件の条件を整理したうえで、所轄の消防署や自治体などの関係機関へ確認することが大切です。
■ 条件を早く把握するほど、計画は進めやすくなる
こうした条件は、物件の内見や契約前の段階で、ある程度まで確認できるものもあります。設計と施工の両方を理解している会社に早い段階で相談しておくと、「契約後にレイアウトが成立しないとわかった」という事態を避けやすくなります。私たちアースラインでは、物件をご検討中の段階からのご相談も承っており、設備条件を踏まえたうえで実現可能なレイアウトの方向性をお伝えしています。費用の考え方については費用目安ページもあわせてご参考ください。
まとめ|店舗レイアウトの設計法則は、店舗デザイン・設計・施工の一貫した視点から生まれる
店舗レイアウトは、面積配分から始め、ゾーニングで役割を整理し、寸法で具体化し、建物の条件に合わせて調整していく――この順序で組み立てていくと、判断の軸がぶれにくくなります。見た目の良さと使いやすさ、そして工事の実現性を同時に満たすには、店舗デザイン・設計・施工を分断せずに考えられる体制が力を発揮します。
株式会社アースラインは、23年以上の実績と、重飲食からミシュラン掲載の高級店まで幅広い業態を手がけてきた経験を活かし、企画・店舗デザイン・設計・施工をワンストップでご提供しています。東京23区を中心に全国対応が可能です。「この物件でどんなレイアウトが組めるのか知りたい」というご相談も、図面がない段階からお気軽にお寄せください。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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