店舗づくりコラム
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カテゴリー:店舗づくりコラム
28:清潔感と使いやすさで差がつくポイント
目次
清潔感と使いやすさで差がつくポイント|店舗デザイン・設計・施工で選ばれる店をつくる
お客様がお店に入ったときの印象には、料理やサービスだけでなく、店舗デザイン・設計・施工によってつくられた空間の清潔感や動きやすさも関わります。「毎日きちんと掃除しているのに、古びて見える気がする」「動きにくい店になってしまった」——こうした悩みを防ぐためにも、清掃や移動のしやすさを設計段階から考えておくことが大切です。清潔感や使いやすさには、日々の清掃・整理整頓に加えて、素材や配置といった選択も影響します。この記事では、初めての開業やリニューアルを検討されているオーナー様に向けて、清潔感と使いやすさで差がつくポイントを、素材・納まり・動線・維持管理という4つの視点から、開業後まで見据えて解説します。
清潔感と使いやすさが店の評価を支える|店舗デザイン・設計・施工の基本視点
清潔感と使いやすさは、内装が仕上がったあとの「運用の話」だと思われがちです。しかし実際には、日々の清掃や整理整頓に加えて、素材の選び方や配置といった設計段階の選択も影響します。設計段階で清掃や運営のしやすさを考えておくことで、開業後の負担を減らしやすくなります。
清潔感は「清潔であること」と「清潔に見えること」の両輪
衛生管理が行き届いていることと、お客様がそう感じ取れることは、同じではありません。どれだけ丁寧に清掃していても、汚れが入り込みやすく落としにくい素材を選んでいれば、黒ずみが残りやすくなります。反対に、汚れを落としやすい素材を選び、暗がりができにくい照明計画を組んでおけば、同じ清掃時間でも状態を保ちやすくなります。なお、汚れが目立ちにくい色や柄は見た目の印象を整えるうえで役立ちますが、それ自体で清潔になるわけではありません。汚れを落としやすい素材を選び、汚れの有無を確認できる明るさを確保したうえで、清掃と点検を続けることが前提になります。
使いやすさは滞在の質と再来店に影響する
お客様にとっての使いやすさとは、席に着くまで迷わないこと、荷物や上着の置き場に困らないこと、トイレの場所がすぐわかることといった、小さな安心の積み重ねです。ひとつひとつは些細に見えても、こうした引っかかりが重なると、料理やサービスの印象まで引きずられてしまうことがあります。逆に、何も意識せずに過ごせた空間は「居心地が良かった」という記憶として残りやすくなります。
後から足しにくい部分だからこそ、設計段階で検討する
照明の追加や什器の入れ替えは、営業を続けながらでも対応できる場合があります。一方で、床や壁の仕上げ、排水の位置、什器の造作、コンセントの配置は、一度つくると変更に工事が伴います。長く清潔な状態を保つためには、日々の清掃に加えて、汚れを落としやすく、手の届きやすい設計にしておくことが大切です。私たちアースラインでは、設備負荷の高い重飲食(火力・排気・給排水の負担が大きい業態のこと)から高級飲食店まで幅広い店舗づくりを手がけ、設計から施工までを自社で一貫して管理しています。
清潔感を支える素材と納まり|清掃しやすい店舗設計の考え方
清潔感を左右する要素のうち、影響が大きいのが素材の選定と納まり(部材どうしの取り合い方)です。
床・壁は「汚れの落としやすさ」と「安全性」で選ぶ
付着しやすい汚れは業態によって異なります。飲食店なら油と水、美容室なら薬剤と毛髪、物販店なら靴裏の砂や埃といった具合です。素材は、見た目の好みだけでなく、その汚れに強いか、日常的な清掃で元の状態に戻せるかを基準に選びます。凹凸の深い仕上げや吸水性のある素材は、質感に魅力がある一方で汚れが入り込みやすいため、汚れやすい範囲だけ拭き取りやすい素材に切り替えるといった使い分けが有効です。あわせて確認しておきたいのが、水や油が付着したときの滑りにくさと、使用する洗剤や清掃方法に適合するかどうかです。これらの性能は製品ごとに異なりますので、具体的な数値や適合条件はメーカーの仕様書で確認し、使用する場所ごとに選定します。
目地と隅の納まりを検討する
汚れが溜まりやすいのは、床と壁の取り合い、什器の脚元、設備機器の裏側といった「隅」です。床と壁の境目は、隙間や汚れが溜まる段差を抑え、必要に応じて丸みを持たせるなど、清掃しやすい納まりを検討します。什器の足元は、隙間を塞いで汚れが入り込みにくくする方法と、清掃道具が入る空間を確保して掃除しやすくする方法があります。什器の仕様や点検・交換の必要性に合わせて、適した納まりを選びます。目地の少ない大判の材料を使う、目地の色を調整するといった工夫もありますが、汚れが目立ちにくい色は見落としも起きやすいため、清掃と点検の手順とあわせて考えます。こうした仕様は使用する場所と清掃方法に合わせて選ぶもので、店舗全体に同じ納まりが必要になるとは限りません。
配線・設備は「納めること」と「点検できること」を両立させる
配線がむき出しになっている、空調の吹き出し口に埃が溜まっている、カウンター下に段ボールが積まれている。こうした状態は、内装が良くても清潔感を損ないます。設計段階では、配線を整理し、必要な部分はカバーなどで納めながら、点検や交換ができる構成にします。空調設備も、フィルターや吹き出し口を清掃しやすい配置にしておきます。隠すこと自体が目的ではなく、清掃・点検・修理の手が届く状態を保つことが前提です。あわせて備品や在庫の収納場所を確保しておくことが、清潔な状態を保つ土台になります。
照明は明るさ・色味・確認のしやすさを組み合わせる
同じ空間でも、光の当て方で見え方は変わります。壁面や天井に光を回すと空間全体が明るく感じられ、暗がりを減らせます。色温度(光の色味)も要素のひとつで、白に近い光は明るさを感じやすく、電球色に近い光は落ち着きを演出しやすい傾向がありますが、どの色味が適しているかは業態や時間帯によって異なります。業態に合う色味と明るさを選び、光源が直接目に入るまぶしさを抑え、清掃時に汚れの有無を確認できる明るさを確保する。この組み合わせで考えることが大切です。営業時と清掃時で必要な明るさが異なる場合は、調光や照明回路の分け方も検討しておきましょう。照明計画については店舗照明計画の基本と実践でも詳しく取り上げています。
においと空気の計画も清潔感のうち
入口を開けた瞬間に前日の調理のにおいが残っていれば、内装が整っていても印象は下がります。換気の経路、排気と給気のバランス、客席側へにおいが流れ込まない計画は、設計段階で検討しておきたい事項です。
使いやすさの設計|お客様目線とスタッフ目線を分けて考える
使いやすさを検討するときは、お客様の使いやすさとスタッフの使いやすさを分けて考えると、抜け漏れが減ります。
入口からの流れをつくる
入店してから席に着くまでに、お客様は「どこで待てばよいのか」「誰に声をかければよいのか」を無意識に探しています。待機位置が明確でない、順番待ちのスペースが通路と重なっている、券売機や受付の前で滞留してしまうといった状態は、入口付近の混雑を招きます。扉の開き方向、傘や靴の扱い、ベビーカーが通れる幅まで含めて、最初の数歩の流れを設計段階で描いておきましょう。
席まわりの小さな使いやすさを積み上げる
荷物入れや上着掛けの有無、テーブルと椅子の高さの関係、隣席との距離、手元の明るさ、電源の位置。こうした要素は、お客様が言葉にしないまま印象として蓄積していく部分です。とくに荷物の置き場は、なければ床や隣の椅子に置くことになり、通路をふさいで清掃もしにくくなります。座席と動線の関係は売上にも関わるため、店舗レイアウトの設計法則とあわせて検討されることをおすすめします。
スタッフの使いやすさは、清潔な状態の維持につながる
清掃しやすい店は、清潔な状態を保ちやすい店です。モップやカートが入る通路幅か、什器の下に清掃道具が届くか、水を使える場所が近いか。毎回什器を動かさなければ掃除できない配置では、時間に追われるほど手が回らなくなります。清掃用具や洗剤は、清掃する場所から取り出しやすく、通行を妨げない専用の収納場所を確保します。飲食店では、洗剤などの薬剤を食品や食器類と分けて保管し、トイレ用の清掃用具は厨房や客席で使うものと区別して管理できるようにしておきましょう。
会計・受け渡しの位置を決めておく
会計カウンターの位置と広さ、決済端末の置き場所、レシートや釣り銭の受け渡し、袋詰めのスペース。ここが手狭だと、退店時に滞留が生まれ、次のお客様の入店にも影響します。持ち帰りやデリバリーに対応する場合は、店内のお客様の動線と交差しない受け渡し位置を確保できるかも確認しておきたい点です。
トイレ・手洗い・バックヤード|見落とされやすい場所ほど丁寧に
清潔感の評価は、客席よりもむしろ周辺の設備で決まることがあります。
トイレは店の清潔さを意識しやすい場所
トイレは、お客様が店の清潔さを意識しやすい場所です。ここで感じた印象は、店全体の衛生状態の推測につながることもあります。広さや設備のグレードよりも、床と壁の清掃しやすさ、においがこもらない換気、手を拭く場所と荷物を置く場所があるか、鏡と照明の見え方といった基本が整っているかが重要です。扉の前が通路と近すぎないか、客席から出入りが目立ちすぎないかといった配置への配慮も、居心地に関わります。清掃面では、トイレ専用の清掃用具を近くに収納できるかどうかも確認しておきたい点です。便器や手洗いまわりの床と壁の取り合い、配管の見え方、ペーパーやサニタリーボックスの置き方といった細部も印象を左右します。使用する方の状況に応じた配慮が必要な場合もありますので、設計の段階で対象となるお客様像を共有しておくと、仕様の判断がしやすくなります。
手洗い設備は基準と使い勝手の両面から
飲食店の調理場には、従事者用の手洗い設備と、洗浄後の手指の再汚染を防ぐ構造の水栓が必要です。自動水栓や、手指で直接触れずに操作できるレバー式など、基準に適合するものを選びます。必要な数や配置、具体的な仕様は、取り扱う食品や作業内容を踏まえて、設計の早い段階で所轄の保健所に確認しましょう。あわせて、実際に作業する人が使いやすい位置にあるか、動線上で手を洗いに行きやすいかという運用面も確認しておきたい点です。
バックヤードとゴミの動線
清潔感を損なう原因として見落とされやすいのが、ゴミと段ボールの置き場です。営業中に出るゴミをどこに一時保管し、どの経路で外へ出すのか。この動線が客席と交差していると、時間帯によっては印象を下げてしまいます。搬入の経路も同様で、納品のたびに客席を横切る配置は避けたいところです。スタッフの休憩や更衣のスペース、私物の保管場所を確保しておくことも、店内に物が溢れる状態を防ぐうえで有効です。
清潔な状態を保てる店にする|維持を前提とした店舗施工の考え方
開業直後の美しさは、どの店舗にもあります。差がつくのは、一年後、三年後にその状態をどれだけ保てているかです。
清掃時間から逆算して設計する
閉店後に清掃へ充てられる時間は限られています。その時間内で無理なく元の状態に戻せる仕様になっているかを、設計段階で確認しておきましょう。清掃箇所を洗い出し、それぞれにどれくらいの時間がかかるかを想定してみると、手間のかかる部分が見えてきます。装飾的な要素を加える場合も、清掃の手が届く範囲に収めておくことで、埃が溜まったまま放置される事態を避けやすくなります。
傷んだときに直しやすい構成にする
店舗は消耗する場所です。什器の角に物がぶつかる、床が擦れる、シートが破れるといった劣化は避けにくいものです。そのときに、部分的に交換・補修できる構成になっているかどうかで、維持にかかる費用と手間が変わります。同じ材料を後から入手しやすいか、張り替えの範囲を小さく区切れるか、予備の材料を確保しておけるかといった点は、施工会社と相談しながら決めておきたい部分です。
開業前に清掃と点検の手順を決めておく
どの場所を、誰が、どの頻度で、どの道具と洗剤で清掃するのか。これを開業前に決め、スタッフ間で共有しておくと、状態のばらつきを抑えやすくなります。素材ごとに適した洗剤や清掃方法は異なり、誤った方法で傷めてしまう例も少なくありません。引き渡しの際に、施工会社から仕上げ材ごとのメンテナンス方法を書面で引き継いでおくことをおすすめします。
費用の考え方と判断のしかた
清掃性や耐久性に配慮した素材や納まりは、初期費用がやや上がる場合があります。しかし、日々の清掃にかかる時間や、補修・張り替えの頻度まで含めて考えると、判断の材料は変わってきます。どこに費用をかけ、どこを標準的な仕様に留めるかは、業態と運営体制によって異なります。費用の全体像は費用目安ページを、実際の仕上がりの質感は施工事例ページでご確認いただけます。
まとめ|清潔感と使いやすさは、店舗デザイン・設計・施工の一貫計画から生まれる
清潔感と使いやすさを支えているのは、日々の清掃と整理整頓です。そして、それを続けやすくするのが設計段階の選択です。汚れを落としやすく滑りにくい素材を選び、隅の納まりと収納を計画し、お客様とスタッフそれぞれの動線を描き、清掃・点検・補修のしやすさまで織り込む。この積み重ねが、一年後も三年後も気持ちよく使える店につながります。いずれの要素もデザイン・設計・施工のどこか一段階だけでは完結しないため、店舗デザイン・設計・施工を一貫して考えられる体制で計画を進めることが、開業後の負担を減らす近道になります。
株式会社アースラインは、創業から23年、ラーメン・焼肉・寿司といった設備負荷の高い重飲食から、ミシュラン三ツ星「日本料理 龍吟」をはじめとする高級飲食店まで、幅広い業態の店舗づくりを手がけてきました。企画・店舗デザイン・設計・施工、そして開業に向けた立ち上げサポートまでをワンストップでご提供し、東京23区を中心に全国に対応しています。設計から施工までを自社で一貫管理しているため、「この素材は毎日の清掃に耐えられるか」「この配置で掃除の手が届くか」といった実務的な視点を、デザインの検討と同じテーブルで確認できます。図面を描く前の段階のご相談も歓迎いたしますので、どうぞお気軽にお声がけください。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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