店舗づくりコラム
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カテゴリー:店舗づくりコラム
19:店舗照明計画の基本と実践
目次
店舗照明計画の基本と実践|店舗デザイン・設計・施工で空間の質を高める照明の考え方
「同じ内装なのに、照明を変えただけでお店の印象がまるで違って見える」――店舗デザイン・設計・施工の現場では、照明の力を実感する場面が数多くあります。照明は、空間の雰囲気だけでなく、料理や商品の見え方、お客様の居心地、さらには滞在時間や客単価にも関わる重要な要素です。ところが、内装の素材やレイアウトに比べて後回しにされやすく、「工事の終盤になって照明だけ浮いてしまった」というケースも少なくありません。この記事では、初めて店舗開業を検討されるオーナー様に向けて、照明計画の基本知識から業態別の考え方、設計・施工段階での実践ポイントまでをわかりやすく解説します。
店舗デザイン・設計・施工における照明計画の役割|なぜ照明で店の印象が決まるのか
店舗の照明は、単に「空間を明るくするための設備」ではありません。店舗デザイン・設計・施工の中で照明が担っているのは、コンセプトを光で表現し、お客様の体験の質を左右するという、空間づくりの中核に関わる役割です。
まず、照明はお店の第一印象を大きく左右します。外から見たときに店内がどんな明るさで、どんな色味の光に包まれているかによって、「入りやすそう」「落ち着けそう」「高級そう」といった印象が瞬時に形づくられます。同じ内装でも、明るくフラットな光であればカジュアルで開放的な印象に、暗めの空間に光のメリハリをつければ大人の落ち着いた印象に変わります。つまり照明は、ターゲットとするお客様に「このお店は自分向きだ」と感じてもらうためのメッセージでもあるのです。
次に、照明は商品や料理の見え方に直結します。飲食店であれば、料理の色味がおいしそうに見えるかどうか。物販であれば、商品の質感や色が正確に、魅力的に見えるかどうか。美容室であれば、鏡に映るお客様の顔色が自然に見えるかどうか。これらはすべて光の質によって変わるため、照明計画の良し悪しは、売上やリピートにも少なからず影響します。内装にどれだけ費用をかけても、それを照らす光が合っていなければ、素材の質感や空間の魅力は十分に伝わらないのです。
さらに見落とせないのが、照明が滞在時間や客単価との関係を持つ点です。一般に、明るい光は活動的な気分を促し回転を早めやすく、落ち着いた光はゆっくり過ごしたい気分を促すといわれています。回転率を重視する業態か、ゆったり過ごして客単価を高めたい業態かによって、目指すべき光の設計はまったく異なります。私たちアースラインでは、ディレクター(専任の進行担当)がオーナー様のコンセプトや客単価の想定をお聞きしたうえで、それに合った照明の方向性をデザイン段階から検討しています。照明は内装工事の「仕上げ」ではなく、店舗デザイン・設計・施工の最初期から組み込むべきテーマなのです。
照明計画の基本知識|色温度・照度・演色性をやさしく理解する
照明計画の打ち合わせでは、専門用語がいくつか登場します。ここでは、オーナー様が押さえておくと打ち合わせが格段にスムーズになる3つの基本用語を、できるだけ平易に整理します。
■ 色温度(K:ケルビン)|光の「色味」を表す数値
色温度とは、光がオレンジっぽいか、白っぽいかを表す数値です。数値が低いほど夕日のような温かみのあるオレンジ色(電球色:2700〜3000K程度)、高いほど昼の太陽光のような白い光(昼白色:5000K程度)になります。飲食店では、料理を温かみのある色で見せ、くつろぎの雰囲気をつくる電球色系が選ばれる傾向があります。一方、オフィスやコンビニのような白い光は作業や買い物には向きますが、くつろぎの空間には硬い印象を与えることがあります。「自分のお店はどんな気分で過ごしてほしい場所か」を基準に色温度を考えるのが出発点です。
■ 照度(lx:ルクス)|空間の「明るさ」を表す数値
照度は、面がどれだけの光で照らされているかを表す数値です。重要なのは、店内全体を均一な照度にする必要はないということです。むしろ、テーブル面は料理が見やすい明るさを確保しつつ、通路や壁際は照度を落とす、といった「明るさの濃淡」をつけることで、空間に奥行きと居心地が生まれます。全体をまんべんなく明るくした空間は、一見きれいでも単調な印象になりやすいものです。
■ 演色性(Ra)|色の「見え方の自然さ」を表す数値
演色性は、その光の下で物の色がどれだけ自然に見えるかを示す指標で、Ra100に近いほど太陽光の下で見た色に近くなります。料理の彩り、食材の鮮度感、商品の色、お客様の肌の色――これらを美しく見せたい店舗では、演色性の高い照明(一般にRa90以上が一つの目安といわれます)を選ぶことが効果的です。とくに美容室や飲食店、アパレルでは、演色性が体験の質に直結するため、器具選定の際に確認しておきたい項目です。
この3つの視点を知っているだけで、「なんとなく明るく」ではなく、「電球色で、テーブル面にメリハリをつけて、演色性の高い光で料理を見せたい」という具体的な会話ができるようになります。
照明の種類と使い分け|ベース・タスク・演出の3層で考える
店舗の照明計画は、役割の異なる照明を組み合わせる「多灯構成」が基本です。大きく分けると、次の3つの層で考えると整理しやすくなります。
■ ベース照明|空間全体の基礎となる明るさ
ダウンライトやシーリングライトなど、空間全体を照らす基礎の照明です。ここで大切なのは、ベース照明だけで空間を完成させようとしないこと。ベースはあくまで下地と捉え、必要最低限の明るさにとどめることで、後述の演出照明が活きてきます。ベース照明を絞ることは、器具数や電気容量の面でコストの最適化にもつながります。
■ タスク照明|作業や行為のための明るさ
厨房の調理面、レジまわり、美容室の施術面など、「作業」に必要な明るさを確保する照明です。お客様の目に触れにくい部分ですが、スタッフの働きやすさやミスの防止に直結するため、機能性を最優先に計画します。客席の雰囲気を優先するあまり厨房やバックヤードまで暗くしてしまうと、オペレーションに支障が出るため、エリアごとに求める明るさを切り分けることが重要です。
■ 演出照明|お店の個性と世界観をつくる光
スポットライトで料理や商品を照らす、壁面を間接照明で照らして奥行きを出す、ペンダントライトでテーブルまわりに親密感をつくる――こうした「見せるための光」が演出照明です。お客様の記憶に残る空間は、この演出照明の設計によって生まれることが多く、限られた予算の中では「ベースを抑えて演出に配分する」というメリハリが効果的です。
また、時間帯によって光を変えられる調光機能も、実践面では有効な選択肢です。ランチタイムは明るく活気のある光、ディナータイムは照度を落とした落ち着いた光、といった切り替えができれば、一つの空間で複数の表情をつくれます。調光には対応する器具と配線計画が必要になるため、設計段階からの検討が欠かせません。私たちアースラインでは、こうした照明の構成をデザイン・設計・施工の一貫体制の中で計画し、図面だけでは伝わりにくい光の印象については、ショールームや実際の店舗で実物を確認しながら決めていくプロセスも大切にしています。
業態別の照明計画のポイント|飲食店・美容室・物販でこう変わる
照明計画の考え方は、業態によって重視すべきポイントが大きく変わります。ここでは代表的な業態ごとに、押さえておきたい視点を整理します。
■ 飲食店|料理を主役にする光と、業態に合った明るさ
飲食店の照明の主役は、あくまで料理です。テーブル面やカウンターの料理に光を集め、周囲の照度を抑えることで、料理が浮かび上がるように見え、写真映えもしやすくなります。居酒屋や焼肉店のような活気を演出したい業態では全体をやや明るめに、落ち着いた和食店やレストランでは暗めの空間に光のメリハリをつける構成が好まれる傾向があります。なお、焼肉店やラーメン店などの重飲食では、油煙や熱の影響を受けやすいため、器具の位置や清掃のしやすさまで考慮した計画が必要です。排気ダクトと照明の位置関係など、設備と照明を同時に検討できるかどうかで、仕上がりと使い勝手に差が出ます。アースラインは創業以来、重飲食の店舗を数多く手がけており、設備計画と照明計画を一体で設計できる点を強みとしています。
■ 高級飲食店|低めの照度と高い演色性で「特別な時間」を演出する
高級飲食店では、全体の照度を抑えつつ、料理と器、そしてお客様の手元に美しく光を届ける繊細な設計が求められます。間接照明で壁や素材の質感を引き立て、光源が直接目に入らないよう配慮することで、上質で落ち着いた時間が生まれます。ミシュラン掲載店舗の施工経験からも、高級業態ほど照明の設計精度が空間の価値を左右すると感じています。
■ 美容室・サロン|「顔が自然に見える光」が最優先
美容室では、鏡に映るお客様の顔色と髪色が自然に見えることが何より重要です。演色性の高い光を選び、顔に影ができにくいよう光の方向にも配慮します。カットやカラーの仕上がり確認には十分な明るさが必要な一方、シャンプースペースはリラックスできる落ち着いた光にするなど、エリアごとの切り替えが効果的です。
■ 物販店舗|スポットで商品を主役にする
物販では、ベース照明を控えめにし、スポットライトで主力商品を照らす「演出重視」の構成が基本です。商品の色が正確に見える演色性も欠かせません。陳列替えに対応できるよう、スポットの位置を動かせるライティングレールを採用しておくと、開業後の柔軟性が高まります。
照明計画で失敗しないために|設計段階から実践したい5つのポイント
最後に、業態を問わず共通する、照明計画の実践ポイントを整理します。いずれも「後から気づくと変更が難しい」項目のため、設計段階からの意識が大切です。
■ ポイント①:照明は内装デザインと同時に計画する
照明を「内装が決まった後の仕上げ」として扱うと、配線や下地の制約で理想の位置に器具を付けられないことがあります。間接照明のための折り上げ天井や壁のふかし(壁を前に出して光の溝をつくる造作)は、内装の設計と一体でなければ実現できません。デザイン・設計・施工を一貫して進められる体制であれば、照明と内装の整合を初期段階から取ることができます。
■ ポイント②:昼と夜、両方の見え方を想定する
自然光が入る店舗では、昼と夜で空間の印象が大きく変わります。昼は外光を活かし、夜は照明で表情をつくる――時間帯ごとのシーンを想定した計画にしておくと、一日を通して魅力的な空間を保てます。調光・調色機能の活用もこの観点から検討する価値があります。
■ ポイント③:メンテナンス性を確認する
高い吹き抜けの照明は電球交換に足場が必要になることがあり、営業しながらの交換が難しいケースもあります。器具の寿命や交換のしやすさ、清掃のしやすさまで含めて計画しておくと、開業後の負担を抑えられます。LED器具は寿命が長く消費電力も抑えやすいため、ランニングコストの面からも現在の主流となっています。
■ ポイント④:実物の光を確認して決める
光の印象は、カタログの数値やパースだけでは伝わりにくいものです。ショールームで実際の器具の光を確認したり、似た雰囲気の店舗を実際に訪れたりすることで、イメージのずれを防げます。アースラインでも、照明や家具は実物を見て決めていただくプロセスを大切にしています。
■ ポイント⑤:電気容量と配線計画を早めに押さえる
照明の数や調光システムによっては、物件の電気容量や回路数の確認が必要になります。とくに居抜き物件では既存の配線をどこまで活かせるかで工事費が変わるため、物件の設備条件と照明計画をセットで検討することをおすすめします。
まとめ|照明計画は、店舗デザイン・設計・施工の初期から組み込む
照明は、お店の印象、料理や商品の見え方、お客様の居心地までを左右する、空間づくりの重要な要素です。色温度・照度・演色性という基本を押さえ、ベース・タスク・演出の3層で光を組み立て、業態ごとの重点を踏まえて計画する。そして何より、店舗デザイン・設計・施工の初期段階から照明を内装と一体で検討することが、後悔のない光の空間をつくる近道です。
株式会社アースラインは、23年以上の実績と、重飲食からミシュラン掲載の高級店まで幅広い業態を手がけてきた経験を活かし、照明計画を含めた企画・店舗デザイン・設計・施工をワンストップでご提供しています。東京23区を中心に全国対応が可能です。「どんな照明にすればいいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。施工実績は施工事例ページで、費用の考え方は費用目安ページでご確認いただけます。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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