店舗づくりコラム
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カテゴリー:店舗づくりコラム
31:店舗施工の流れ完全ガイド|着工から引き渡しまでの全プロセス
目次
店舗施工の流れ完全ガイド|着工から引き渡しまでの全プロセス|店舗デザイン・設計・施工の最終工程
設計図面が完成し、いよいよ工事が始まる段階で、「着工してから引き渡しまで、現場では何が進んでいるのだろう」と気になる方は多いのではないでしょうか。店舗デザイン・設計・施工のうち、施工は計画を実際の空間に変える最後の工程です。ところが、工事期間中にオーナー様が何を確認し、どのタイミングで判断を求められるのかを、事前に知らないまま進んでしまうことも少なくありません。流れを知らないままでは、仕上げの段階で「イメージと違う」と気づいても、手を入れにくくなっていることがあります。この記事では、着工前の準備から下地工事、仕上げ、検査、引き渡しまでの全プロセスを順に整理し、各段階でオーナー様に確認していただきたいポイントを解説します。
着工前に整えること|店舗デザイン・設計・施工をつなぐ準備段階
施工の流れは、着工前の準備から始まっています。なお、この記事では工程を順に紹介しますが、これは代表的な流れです。実際の現場では複数の作業が並行して進み、物件や工法、搬入の条件によって順序が変わることもあります。
実施図面と見積もりの最終確認
着工の前提となるのが、実施図面(工事に使う詳細な図面のこと)の確定です。店舗デザインの段階で決めた空間のイメージを、設計の段階で寸法・仕様・設備計画に落とし込み、その内容が見積もりと対応しているかを確認します。仕上げ材の品番や色、照明器具の種類、厨房機器の配置、コンセントの位置と数、棚やカウンターの高さ。こうした項目は、原則としてこの段階で決めておきます。図面と見積もりの間に食い違いがあると、着工後の追加工事や仕様変更の原因になりますので、気になる箇所は遠慮なく質問しておきましょう。費用の考え方やご相談の流れは、アースラインの費用目安ページもご参照ください。
電気容量は着工前に確認・調整する
厨房機器や空調、照明など、使用を予定している機器に必要な電気容量は、物件選定や設計の段階から確認しておきます。建物側で供給できる容量や増設の可否は、貸主や建物管理者に確認します。増設が必要な場合は、電力会社などとの協議や申請を着工前から進めます。建物の条件によっては希望どおりの容量を確保できないこともあり、その場合は機器の選定や熱源の見直しが必要になります。協議や工事に要する期間も、工程表に反映しておきましょう。
実施工程表をつくる
着工から引き渡しまでの作業の順序と日程は、実施工程表にまとめます。店舗の工事は電気、空調・換気、給排水、内装など多くの職種が入れ替わりながら進み、一つの遅れが後ろの工程に影響します。工程表は、オーナー様が備品の搬入やスタッフの研修、オープン告知の時期を組み立てる基準にもなりますので、現場の確認や判断が必要になる時期もあわせて共有しておきましょう。
貸主・建物管理者との調整
ビル内のテナントや商業施設では、工事の前に貸主や建物管理者への工事申請が必要になるのが一般的です。工事ができる時間帯や資材の搬入経路、共用部の養生(傷や汚れを防ぐための保護)の方法など、建物ごとにルールが定められており、建物側が指定する業者による工事が求められる部分もあります。工期と費用に関わりますので、物件契約の段階から確認しておきましょう。物件の設備条件と工事費の関係については物件契約前に知っておきたい設備条件と施工コストの関係でも解説しています。
行政への届出と近隣へのご挨拶
工事の内容によっては、着工前に行政への届出が必要になります。たとえば東京消防庁の管内では、建築確認(建築基準法にもとづく工事前の審査)を伴わない工事のうち、新たな店舗の開設に伴う工事や間取り・客席レイアウトの変更などを行う場合、工事を始める7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を管轄の消防署へ提出することとされています(東京消防庁「防火対象物の工事等計画の届け出をしよう」)。建築確認を伴う場合は扱いが異なり、ほかの地域では手続きや期限が異なることもありますので、届出の要否は管轄の消防署に確認します。また、既存の内装を解体・改修する工事では、石綿(アスベスト)の有無を事前に調査する必要があり、一定規模以上の工事では調査結果の報告も求められます。
あわせて、工事の内容や期間、現場管理責任者を記した挨拶文を現場の内外に掲示します。私たちアースラインでは、現場管理責任者が近隣へ直接ご挨拶にうかがい、工事期間中のご迷惑をできるだけ抑えられるよう配慮しています。
着工から下地工事へ|解体・墨出し・設備配管で決まる見えない品質
着工後、最初に進むのは、完成後には見えなくなる部分の工事です。店舗の使い勝手や長く使い続けられるかどうかは、この段階の精度に左右されます。
養生と解体・撤去
工事が始まると、まず共用通路などに保護シートを敷いて養生を行い、不要な内装や設備を解体・撤去します。居抜き物件(前の店舗の内装や設備が残っている物件)では、既存の厨房機器や空調、配管がそのまま使えるかを、実物の状態を確かめながら見極めます。解体してみて初めて、壁の中の配管の劣化や、図面にない構造が見つかることもあります。その場合は、変更する内容とその理由、追加費用だけでなく減額の有無や工期への影響をご説明します。見積書や変更図面、メールなどで合意した内容を記録に残したうえで、該当する工事を進めます。居抜き物件の判断基準は居抜き物件vsスケルトン物件 コストと特徴を徹底比較で詳しく比較しています。
墨出しで図面を現場に写す
解体が終わると、墨出し(すみだし)を行います。設計図をもとに、壁の位置や設備の取り付け位置などを床や壁に直接描いていく作業です。同時に図面と現場の実際の寸法を照合し、壁や柱の傾き、床の高低差といったずれを把握して調整します。墨出しが終わった現場に立つと、客席の広さや通路の幅を体感として確認できます。
電気・空調・給排水の設備工事
下地工事と並行して、設備の配線・配管を進めます。電気工事では、着工前に確認・調整した電気容量と機器の計画に沿って、配線や分電盤などの設置を進めます。私たちアースラインでは、第一種電気工事士が、使用する機器に必要な電気容量を確認しています。空調・換気工事では、ダクトを通す開口部や配管の経路を確認します。給排水衛生工事では、建物側の配管から取り出す位置と店内の配管経路を確認し、水まわりには必要に応じて防水工事を行います。とくに設備負荷の高い重飲食(火力・排気・給排水の負担が大きい業態のこと)では、排気や給排水の経路と内装の取り合いが複雑になるため、現場での調整が重要になります。厨房の設計の考え方は重飲食に対応した厨房設計のポイントでも取り上げています。
見えなくなる部分を記録に残す
壁や天井の中に隠れる配線・配管は、仕上げ工事が終わると確認できなくなります。そのため、壁や天井を閉じる前に、配線・配管が計画どおりに施工されているかを確認し、必要な試験や確認を済ませておきます。あわせて、工事の過程を写真で記録しておくことも大切です。配管の位置がわかれば、将来の修理や改装の際に壁や天井を必要以上に壊さずに済みます。アースラインでは、完成後に見えなくなる部分も含めて工事の過程を写真で記録し、引き渡しの際にお渡ししています。
造作・仕上げ工事|空間のかたちが見えてくる段階
設備の配線・配管が進むと、空間のかたちが目に見えて立ち上がっていきます。オーナー様にとって変化を実感しやすい段階です。
間仕切り・天井の下地をつくる
墨出しで示した位置に沿って、間仕切り壁や天井の骨組みを組み、石膏ボードなどを張っていきます。照明などを取り付けるための補強材も、この段階で仕込んでおきます。重い棚や看板、モニターなどを壁に取り付ける予定がある場合は下地の補強が必要になりますので、早めに施工会社へ伝えておきましょう。
施工図にもとづく造作工事
カウンター、棚、ベンチシート、レジまわりなど、店舗に合わせて一からつくる家具や設えを造作(ぞうさく)といいます。造作は、実施図面をさらに細かくした施工図(職人が実際に製作・施工するための詳細な図面)をもとに製作します。アースラインでは、施工図を作成したうえで設計部と内容を確認しながら工事を進め、店舗デザインで描いた意図が現場で損なわれないようにしています。
仕上げ工事で空間の表情が決まる
下地と造作が整うと、塗装、壁紙、タイル、床材などの仕上げ工事に入ります。仕上げ材は、小さなサンプルと広い面に張られたときとで印象が異なることがあります。照明の色や明るさによっても見え方が変わるため、仕様を決める段階で、可能であれば大きめのサンプルや現場の照明に近い条件で確認しておくと安心です。仕上げに入ってから色や素材を変更すると、材料の再手配や工程の組み直しが必要になり、工期や費用に影響が出ることがあります。
器具付けと機器の設置
仕上げ工事と前後して、照明器具、スイッチ・コンセントのプレート、便器や手洗い器などの衛生器具、空調機器、厨房機器などを取り付けていきます。すべての機器が仕上げの後に設置されるわけではなく、天井内に納める空調・換気設備や大型の厨房機器などは、下地や仕上げ、搬入の工程と調整しながら、先に設置する場合もあります。大型の機器は、搬入経路やエレベーターの寸法も機器を選ぶ段階から確認しておきましょう。
工事中の現場確認と変更の伝え方
コンセントの位置や棚の高さ、仕上げ材の色といった項目は、原則として着工前に決めておきます。工事中の現場確認は、決めた内容が図面どおりに進んでいるかを確かめる機会です。墨出しや下地が組み上がった段階で確認しておくと、気になる点に早く気づけます。変更が必要だと感じた場合は、対応できるかどうかと、費用・工期への影響を施工会社に相談してください。変更の希望は、現場の職人に個別に伝えるだけで済ませず、施工会社の担当者を通じて共有し、合意した内容を記録に残しておくことが大切です。訪問の際は安全のため事前に日程を調整し、担当者の案内のもとで確認しましょう。
検査と開業前の手続き|引き渡し・営業開始に向けた確認
工事がひととおり終わると、施工会社による完成検査、オーナー様の立会い、手直しを経て、工事の引き渡しとなります。一方、保健所や消防などの手続きは、工事と並行して準備・調整を進めていくものです。行政の検査と引き渡しのどちらが先になるかは、工事の内容や契約条件、行政との日程調整によって異なります。
施工会社による自主検査・社内検査
工事が完了すると、施工会社は図面どおりに仕上がっているか、傷や汚れ、建具の開閉や照明・給排水などに不具合がないかを確認します。アースラインでは、引き渡し前に自主検査・社内検査を行って不具合を確認し、対処したうえで、オーナー様の立会いにのぞみます。
設備の試運転とクリーニング
厨房機器、空調・換気設備、給湯器、排水設備などは、実際に動かして正常に機能するかを確認します。換気扇を回したときに入口の扉が重くならないか、空調が客席全体に行き渡るかといった点は、図面だけでは確かめきれません。試運転を終えたら、工事中に出た粉じんや汚れを取り除くクリーニングを行います。
保健所の施設検査
飲食店を営業するには、保健所の営業許可が必要です。まず工事の着工前に施設の図面を持って保健所へ事前相談に行き、施設基準に合っているかの確認を受けます。そのうえで、工事の完成予定日より前に営業許可を申請し、完成した施設の実地検査を受けます。たとえば東京都港区では、施設工事の完成予定日(または検査希望日)の7〜10日前には申請書類を提出するよう案内されています(港区「営業許可 手続きのながれ」)。ただし、申請すれば予定どおりに営業できるわけではなく、検査で改善を指摘されれば手直しと再検査が必要になります。事前相談の段階で基準を確認して設計に反映し、検査・手直し・許可までの日程は、担当窓口と余裕をもって調整しておきましょう。保健所基準の考え方は押さえるべき法規制と保健所基準で解説しています。
消防に関する手続き
東京消防庁の管内では、建物や建物の一部を新たに使用する場合、使用を始める7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を管轄の消防署へ提出することとされています(東京消防庁「防火対象物の使用開始の届出をしよう」)。これは、着工前に提出する工事等計画届出書とは別の手続きです。また、自動火災報知設備や誘導灯などの消防用設備を設置・変更した場合には、設置の届出や消防署による検査が必要になることがあります。手続きの種類や期限は地域や建物の条件によって異なりますので、管轄の消防署に確認し、工程表にあらかじめ組み込んでおきましょう。
引き渡しとオープンまで|受け取る書類と確認しておきたいこと
完成検査と手直しを終えると、工事の引き渡しです。引き渡しは工事の終わりであると同時に、オーナー様がお店を運営していくための準備の始まりでもあります。
立会いによる最終確認
引き渡しの前には、オーナー様に立ち会っていただき、施工会社の担当者と一緒に店内を確認します。打ち合わせで決めた内容どおりに仕上がっているか、傷や汚れ、開閉の不具合がないか。客席に座って照明の当たり方を確かめるなど、営業を想定した確認も有効です。気になる点はその場で伝えましょう。手直しが残る場合は、箇所・対応内容・担当・完了予定日を一覧などにまとめて共有しておくと、対応の漏れを防げます。
引き渡し時に受け取る書類
引き渡しの際には、工事の内容を記録した書類一式を受け取ります。アースラインでは、次のものをお渡ししています。
- 引き渡し証明書
- 実施図面一式(一部施工図面を含む)
- 実施工程表
- 現場工事の工程写真
- 照明器具のランプ・各所の鍵のリスト(メーカー・品番を記載)
- 機器類の取扱説明書・保証書
これらの書類は、開業後の修理やランプ交換、将来の改装の際に必要になります。とくに工程写真は、壁や天井の中の配線・配管の位置を確かめる手がかりになります。受け取る際には、工事中に変更した内容が図面や記録に反映されているかも確認しておきましょう。紛失しないよう、まとめて保管しておくことも大切です。
機器の取り扱いとメンテナンスの説明
引き渡しの際には、各種機器の操作方法や、各所のスイッチがどの照明・設備に対応しているかをご説明します。空調のフィルター清掃や排水まわりの手入れなど、日々のメンテナンス方法もこのときに確認しておきましょう。アースラインでは、塗料・壁紙・床材などの補修用の材料もお渡ししており、小さな傷や汚れが生じた際の補修に役立てていただけます。
引き渡しからオープンまでの準備
工事の引き渡しを受けたことだけで、営業を始められるとは限りません。営業許可の取得や使用開始に関する届出など必要な手続きが済み、営業できる状態になっているかを確認しましょう。並行して、食器や備品の搬入と配置、メニューの試作、スタッフの動きの確認やトレーニングを進めます。こうした内部での確認や研修と、実際にお客様へ料理や飲み物を提供する営業とは分けて考え、お客様に提供するプレオープンを行う場合は、必要な営業許可などを整えてから実施します。引き渡しからオープンまでの期間をこうした準備に充てられるよう、工程表の段階で余裕を持って計画しておきましょう。
開業後の相談先を確認しておく
使い始めてから気づく不具合や、営業の中で生まれる要望もあるものです。引き渡しの際には、開業後の連絡先、保証の対象と期間、有償となる対応の範囲を確認しておくと、困ったときに迷わず相談できます。アースラインでは、オープン後もアフターフォローを続けており、気になることがあればお気軽にご相談いただけます。
まとめ|流れを知ることが、店舗デザイン・設計・施工の仕上がりを支える
店舗施工は、着工前の準備から、解体・墨出し・設備工事、造作・仕上げ、完成検査と立会い・手直しを経て、引き渡しへと進みます。保健所や消防などの手続きは、工事と並行して準備・調整します。オーナー様にとって大切なのは、コンセントの位置や棚の高さ、仕上げの色や素材といった項目を着工前に決め、工事中は計画どおりに進んでいるかを確認すること。変更が必要になったときは、費用や工期への影響を確かめ、合意した内容を記録に残してから進めること。そして引き渡しを受けたら、営業に必要な許可や届出が済んでいるかを確かめることです。流れを知っておけば、手戻りを抑えられます。施工の段階で店舗デザインと設計の意図を正確に引き継ぐためには、店舗デザイン・設計・施工を一貫して管理できる体制が有効です。
株式会社アースラインは、創業から29年、ラーメン・焼肉・寿司といった設備負荷の高い重飲食から、ミシュラン三ツ星「日本料理 龍吟」をはじめとする高級飲食店まで、幅広い業態の店舗づくりを手がけてきました。企画・店舗デザイン・設計・施工、そして開業に向けた立ち上げサポートまでをワンストップでご提供し、東京23区を中心に全国に対応しています。これまでの店舗づくりの実例は施工事例ページでご覧いただけます。「物件は決まったが、工事の進め方がわからない」という段階からでも、どうぞお気軽にご相談ください。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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