店舗づくりコラム
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25:高級感を演出する内装の作り方
目次
高級感を演出する内装の作り方|店舗デザイン・設計・施工で叶える上質な空間づくり
「単価の高いお店にしたいけれど、内装にどこまでお金をかければ高級感が出るのかわからない」――店舗デザイン・設計・施工のご相談の中で、こうしたお悩みをうかがう機会は少なくありません。高級感のある空間は、客単価やお客様の滞在時間にも関わる、お店全体の印象を形づくる重要な要素です。一方で、高価な素材を並べれば上質に見えるかというと、必ずしもそうとは限りません。実際には、素材・色・光・寸法・仕上げの精度といった要素が組み合わさって「上質さ」は生まれます。この記事では、初めて店舗開業を検討されるオーナー様や、既存店のリニューアルをお考えの経営者様に向けて、高級感を演出する内装の考え方と、設計・施工の段階で押さえておきたい実践ポイントを整理してお伝えします。
高級感の正体とは|店舗デザイン・設計・施工で押さえたい「上質さ」の条件
はじめに確認しておきたいのは、高級感とは「高価に見えること」ではなく、「丁寧に整えられていると感じられること」だという点です。同じ予算をかけた空間でも、上質に見えるお店とそうでないお店が生まれるのは、この違いによるところが大きいと考えられます。
■ 情報量が整理されている
上質に感じられる空間には、視界に入る情報が整理されているという共通点が見られます。色数が多い、素材の種類がばらばら、掲示物や配線、収納しきれない備品が見えている――こうした要素が重なると、どれだけ良い素材を使っていても雑然とした印象になりがちです。逆に、要素を絞り込んで整えるだけでも、空間の格は上がって見えることがあります。高級感を出すための第一歩は、足し算ではなく引き算だと言えるかもしれません。
■ ディテールの精度が高い
目地(部材と部材のつなぎ目)の通り、見切り材(異なる仕上げ材の境目を納める部材)の納まり、扉と枠の隙間、コンセントやスイッチの位置。こうした細部は、意識して見なければ気づかない部分ですが、全体の印象には確実に影響します。ミリ単位の精度が積み重なることで、空間全体が引き締まって見えるためです。ディテールの完成度は、図面での指示と現場での施工技術の両方がそろって初めて実現されるものです。
■ 一貫したコンセプトがある
和の設え、モダン、クラシック、ミニマル。方向性そのものに優劣はありませんが、内装・照明・家具・食器・スタッフの装いまでが同じ世界観でつながっているお店は、印象に一体感が生まれます。逆に、部分ごとに好みを持ち込むと、要素同士が主張し合い、まとまりを欠いた印象になることがあります。
私たちアースラインは、23年以上の実績の中で、高級飲食店やミシュラン掲載店舗の空間づくりにも携わってきました。その経験から感じているのは、上質さは特別な素材ではなく、コンセプトから納まりまでを一貫して管理する姿勢から生まれる、ということです。店舗デザイン・設計・施工を分断せずに進められる体制は、この一貫性を保つうえで有利に働く場面が多いと考えています。
素材と色で生む高級感|質感の選び方と組み合わせ方
高級感を左右する要素のうち、最もわかりやすいのが素材と色です。ここでは、限られた予算の中でも上質さを出しやすい考え方を整理します。
■ 色数を絞り、明度・彩度を抑える
落ち着いた印象の空間では、ベースとなる色を数色程度に絞り、鮮やかすぎない色調でまとめている例が多く見られます。濃紺、墨色、深い茶、生成りといった落ち着いた色調は、素材や照明と組み合わせることで、空間に深みや落ち着いた印象を与えやすくなります。差し色を使う場合も、面積を小さく抑えると全体の統一感を保ちやすくなります。
■ 「触れる場所」に質感のある素材を配する
予算配分で迷われたときにおすすめしたいのが、お客様の手や視線が近づく場所に良質な素材を使うという考え方です。カウンターの天板、テーブルの縁、扉の取っ手、椅子の座面や背もたれ。これらは実際に触れる部分であり、質感の違いが体感として伝わります。反対に、天井の奥まった部分や視線が届きにくい壁面は、コストを抑えた仕上げでも印象への影響は限定的です。
■ 素材の「本物感」を意識する
近年は、木目や石目を印刷した化粧材の品質も向上しており、適材適所で活用する価値は十分にあります。ただし、お客様の目が近づく箇所については、無垢材や突板(天然木を薄くスライスして貼った仕上げ材)、天然石、左官材(コテで塗り仕上げる壁材)など、本物の素材が持つ質感が効果を発揮しやすい傾向があります。特に左官仕上げは、手仕事ならではのわずかなムラが陰影を生み、一枚の壁だけでも空間の印象を変えることがあります。
■ 経年変化を「味」として計画する
真鍮や銅、無垢の木、革といった素材は、時間の経過とともに色や艶が変化します。新品の状態が最も美しい素材とは異なり、使い込むほど深みが増していく点が特徴です。長く続けたいお店であれば、この経年変化を前提に素材を選ぶという考え方もあります。ただし、清潔感が最優先される厨房まわりや水まわりでは、メンテナンス性の高い素材を選ぶなど、場所ごとの使い分けが必要です。
光が左右する上質さ|高級感を演出する照明計画の考え方
素材選びと並んで、あるいはそれ以上に高級感を左右するのが光の計画です。同じ内装でも、照明の質と配置によって印象は大きく変わります。
■ 明るくしすぎない
高級感のある飲食店の多くは、店内全体を均一に明るくするのではなく、照度を抑えたうえで必要な場所に光を集めています。テーブルの上、料理、カウンターの手元。これらに光が集まり、周囲がやや落ちることで、被写体が浮かび上がり、空間に奥行きが生まれます。天井の全体照明だけで明るさを確保する計画は、実用的ではあるものの、事務的な印象になりやすい傾向があります。
■ 色温度は電球色の範囲でそろえる
光の色みを表す指標を色温度(K:ケルビン)といい、数値が低いほど温かみのある色になります。落ち着いた雰囲気を目指す店舗では、2700〜3000K程度の電球色が選ばれることが多くあります。注意したいのは、店内で色温度が混在しないようにすることです。同じ空間の中で白っぽい光と温かい光が混ざると、まとまりを欠いた印象になりやすいためです。
■ 演色性の高い光源を選ぶ
物の色が自然に見える度合いを演色性(Ra)と呼び、一般にRa90以上が高演色の目安といわれます。料理の彩り、木や石の質感、お客様の顔色を美しく見せたい店舗では、演色性の高い照明を選ぶことが空間の印象を支えます。数値上の明るさが同じでも、光の質が違えば見え方は変わってきます。
■ 光源をそのまま見せない
裸の電球や器具が視界に直接入ると、まぶしさ(グレア)が生じ、落ち着いた雰囲気を損なうことがあります。器具を天井に埋め込む、ルーバー(羽根状の遮光部材)で光源を隠す、建築的な溝に照明を仕込んで壁や天井を照らす間接照明にするなど、光の出どころを見せない工夫が効果的です。「光は見せず、照らされたものを見せる」という考え方は、上質な空間づくりの基本の一つです。照明計画の詳細については、別記事「店舗照明計画の基本と実践」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
余白と寸法が生む格式|設計段階で決まる高級感
素材や照明にこだわっても、寸法計画が伴わなければ上質さは実現しにくいものです。ここは設計段階でしか調整できない領域であり、後から変更するには大きな費用がかかります。
■ 席と席の間隔に余裕を持たせる
高級感を語るうえで避けて通れないのが、一席あたりに割り当てる面積です。席数を増やせば売上の上限は上がりますが、隣席との距離が近すぎると、会話が聞こえる、荷物が置けないといった状況が生まれ、落ち着いて過ごせる空間にはなりにくくなります。客単価を高く設定するお店ほど、席の間隔や通路幅にゆとりを持たせる設計が求められる傾向があります。席数と客単価のバランスは、事業計画とあわせて検討したい重要な論点です。座席計画については、別記事「座席数と動線で売上を最大化する方法」もご参考ください。
■ 天井の高さと視線の抜けを設計する
天井が高い空間は開放感を得やすい一方、すべての箇所を高くすれば良いというものでもありません。天井の一部を下げて落ち着きのある席をつくり、別の場所は高さを活かすといった高低差の使い分けが、空間にリズムを生みます。また、入口から店内を見たときにどこまで視線が抜けるか、何が最初に目に入るかという「見え方の設計」も、第一印象を大きく左右します。
■ 動線を交差させない
お客様の動線とスタッフの配膳・下げ膳の動線が交差すると、店内に慌ただしさが生まれます。上質な空間では、サービスが静かに行き届いていることが印象を支えるため、動線計画は雰囲気づくりの一部でもあります。トイレへの経路が客席の目の前を横切らないようにするといった配慮も、体感の質に影響します。
■ 生活感を見せない収納計画
おしぼりや予備の食器、清掃用具、段ボールといった備品が視界に入ると、それだけで上質さは損なわれます。どこに何をしまうかを設計段階で決め、必要な収納量を確保しておくことが大切です。配線やダクト、分電盤といった設備要素をどう隠すかも、あわせて計画したいポイントです。
予算内で高級感を実現する|費用配分と施工品質の考え方
最後に、現実的な予算の中で上質さを実現するための考え方を整理します。
■ 費用の目安を把握する
高級飲食店の内装工事は、仕様や物件条件によって幅がありますが、坪単価90〜100万円程度からが一つの目安となる場合があります。より仕様を高めたラグジュアリー業態では、坪単価120万円程度から検討されるケースもあります。美容室・サロンは坪単価90万円程度から、物販店舗は坪単価70万円程度からが目安となることが多く、業態によって設備負荷が異なるため、必要な費用も変わってきます。実際の金額は、物件の状態やスケルトンか居抜きかによっても変動しますので、費用の考え方や進め方については費用目安ページもご覧ください。
■ 予算はメリハリをつけて配分する
限られた予算をすべての面に均等に配分するより、お客様の印象を決める場所へ重点的に投じるほうが、費用対効果を実感しやすくなります。エントランス、正面の壁、カウンター、照明。これらに投資し、視界に入りにくい部分は標準的な仕様に抑えるという判断は、多くの現場で有効に働きます。どこを重点箇所とするかは、店舗のコンセプトと客席のレイアウトによって変わるため、デザインと設計を一体で検討する価値があります。
■ 施工の精度が仕上がりを左右する
同じ図面、同じ素材でも、施工の精度によって仕上がりの印象は変わります。左官の塗りムラ、木部の継ぎ目、タイルの割付、塗装の下地処理。こうした部分は、施工に携わる職人の技術と、現場を管理する体制に支えられています。デザインが優れていても、施工段階で意図が伝わらなければ、図面どおりの上質さは表れにくくなります。
私たちアースラインは、店舗デザインから設計、施工までを自社で一貫して管理する体制を取っています。世の中には施工のみを請け負う会社も多くありますが、デザインの意図を理解した担当者が現場まで見届けることで、細部の判断にぶれが生じにくくなると考えています。実際の仕上がりの雰囲気については、施工事例ページで業態ごとの事例をご覧いただけます。
まとめ|高級感は、店舗デザイン・設計・施工の一貫した積み重ねから生まれる
高級感を演出する内装とは、高価な素材を並べた空間ではなく、情報量が整理され、光と寸法が計算され、細部まで丁寧に仕上げられた空間です。色数を絞る、触れる場所に質感のある素材を使う、光を抑えてメリハリをつける、席の間隔にゆとりを持たせる。一つひとつは地味な判断ですが、その積み重ねが「上質だ」という体感をつくります。そして、その意図を最後まで形にするには、店舗デザイン・設計・施工を一貫して進められる体制が力を発揮します。
株式会社アースラインは、23年以上の実績と、重飲食からミシュラン掲載の高級店まで幅広い業態を手がけてきた経験を活かし、企画・デザイン・設計・施工・立ち上げサポートをワンストップでご提供しています。東京23区を中心に全国対応が可能です。「予算の中で上質な空間をつくりたい」というご相談も、コンセプトづくりの段階からお気軽にお声がけください。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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