店舗づくりコラム
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カテゴリー:店舗づくりコラム
24:おしゃれで機能的な空間を実現するポイント
目次
おしゃれで機能的な空間を実現するポイント|店舗デザイン・設計・施工で見た目と使いやすさを両立する
「見た目にはこだわりたい。でも、実際に働きにくいお店にはしたくない」――店舗デザイン・設計・施工のご相談で、多くのオーナー様が抱えているのがこのジレンマです。雑誌やSNSで見かける洗練された空間に憧れる一方で、「掃除が大変そう」「スタッフが動きにくいのでは」という不安がよぎる。実際、開業後に「見た目は気に入っているけれど、毎日の運営で苦労している」という声を聞くことも少なくありません。しかし、美しさと使いやすさは、本来トレードオフの関係ではありません。この記事では、デザイン性と機能性がぶつかりやすい具体的な場面と、その両立を図面の段階で実現していくための考え方を解説します。
「おしゃれ」と「機能的」は対立しない|店舗デザイン・設計・施工で両立を考える出発点
まず整理しておきたいのは、「おしゃれ」という言葉の中身です。この言葉は感覚的に使われがちですが、実際に「洗練されている」と感じられる空間を観察すると、いくつかの共通した要素が見えてきます。
■ 洗練された空間に共通する4つの要素
一つめは統一感です。使われている色数と素材数が絞り込まれ、床・壁・家具・照明が同じ方向を向いています。二つめは余白。ものを詰め込まず、視線が抜ける部分が確保されています。三つめは光の質で、明るさの強弱にメリハリがあり、見せたい部分に光が集まっています。そして四つめがノイズの少なさ――配線、貼り紙、雑多な備品といった、意図せず視界に入る情報が抑えられている状態です。
逆に言えば、これらは特別に高価な素材を使わなくても、計画次第で近づける要素だと言えます。「予算がないから洗練された空間は無理」と考えてしまうオーナー様は多いのですが、実際には金額よりも整理の精度が印象を左右する場面が少なくありません。
■ 「機能的」とは、三つの立場にとっての使いやすさ
一方の「機能的」も、分解すると三つの視点に整理できます。お客様にとっての過ごしやすさ(座りやすさ、迷わない案内、荷物の置き場)、スタッフにとっての働きやすさ(動線の短さ、手の届く収納、作業スペースの確保)、そしてお店にとっての維持しやすさ(掃除の手間、傷みにくさ、修繕のしやすさ)です。この三つのうち、どれか一つでも大きく欠けると、日々の運営に負担が積み重なっていきます。
■ 両立が崩れるのは「順番」と「分断」が原因になりやすい
デザイン性と機能性が対立してしまう原因は、素材やテイストそのものよりも、検討の順番と体制にあることが多いものです。意匠のイメージだけが先に固まり、設備や運営の条件が後から持ち込まれると、「この位置に配管が通せない」「ここに換気扇が必要」といった後出しの調整が発生します。その結果、当初のデザインに継ぎ足しのような要素が加わり、統一感が崩れてしまうのです。
私たちアースラインでは、企画・店舗デザイン・設計・施工を自社で一貫して担う体制をとっています。意匠を考える担当と、設備や施工の条件を判断する担当が同じテーブルで話し合えることは、こうした後出しの調整を減らすうえで大きな意味を持つと考えています。
見た目と使いやすさがぶつかりやすい5つの場面
ここからは、実際の現場で「美しさ」と「使いやすさ」がすれ違いやすい場面を、具体的に見ていきます。いずれも図面の段階で気づけば調整できるものばかりです。
■ 場面①:スイッチ・コンセントの位置
意匠図では意識されにくく、後から現場で決まってしまいやすいのがスイッチとコンセントです。せっかく仕上げた壁面の目立つ位置にスイッチが並んでしまう、逆に見た目を優先して数を絞った結果、開業後に延長コードが床を這うことになる――どちらもよくある行き違いです。掃除機やレジ、POS端末、季節家電、スマートフォンの充電など、実際に使う機器を早い段階で洗い出し、必要な数を確保したうえで、目立たない位置にまとめる。この二段階の検討が有効です。
■ 場面②:空調・換気・消防設備の見え方
エアコンの室内機、換気扇、ダクト、スプリンクラー、誘導灯、消火器などは、建物の条件や用途に応じて設置が必要になる設備です。必要な設備は意匠の都合だけで省くことはできないため、デザインと同時に計画することが大切です。天井のどこに何が並ぶかを意匠と同時に計画しておくと、機器の位置をそろえたり、あえて配管を見せるデザインとして統合したりといった判断ができます。とくに排気設備の負荷が大きい重飲食では、ダクトの経路が空間の印象を大きく左右するため、早い段階での検討が欠かせません。
■ 場面③:収納量の不足
開業後に空間の印象が変わってしまう原因の一つが、収納不足です。予備の食器、ストック、清掃道具、販促物、スタッフの私物。置き場が決まっていないものは、結局どこかの隅に積まれ、視界のノイズになっていきます。設計の段階で「何を、どれだけ、どこに置くか」を書き出しておくことをおすすめします。
■ 場面④:レジ・カウンターまわり
お客様の視線が最も集まりやすく、同時に最も機器と書類が集まる場所です。決済端末、伝票、電話、予約台帳、筆記具などの定位置を決め、配線の逃がし方まで含めて造作に織り込んでおくと、日々の運営の中でも整った状態を保ちやすくなります。
■ 場面⑤:照明器具のメンテナンス
吹き抜けや高い天井に設置した照明は、印象的な演出になる反面、ランプ交換や清掃に脚立や高所作業が必要になることがあります。器具の選定と設置位置は、開業後の手入れの手順まで想定して決めておきたいポイントです。照明の考え方については、店舗照明計画の基本と実践でも詳しく解説しています。
洗練の正体は「ノイズの少なさ」|隠す・そろえる・減らすの3原則
雑誌に載るような空間と、日々の運営に追われる空間との差は、素材のグレードよりも「情報量の整理」に表れることが多いものです。ここでは、視界のノイズを抑えるための三つの原則を紹介します。
■ 原則①:隠す――見せなくてよいものに居場所を与える
配線、ゴミ箱、モップやバケツ、ダンボール、スタッフの荷物。これらは業務に必要である一方、お客様の視界に入ると生活感の原因になります。造作の中に収納を組み込む、扉付きの棚を設ける、カウンター下に配線ルートを確保するなど、あらかじめ「隠す場所」を設計に織り込んでおくと、開業後も状態を保ちやすくなります。
■ 原則②:そろえる――ラインと高さを合わせる
整って見える空間では、棚板の高さ、額縁やサインの下端、照明の並び、タイルの目地といった要素のラインがそろっています。逆に、一つひとつは上質でも高さや間隔がばらついていると、落ち着かない印象になりがちです。図面の段階でこれらの基準線を意識しておくことは、費用をかけずに完成度を高める方法の一つです。
■ 原則③:減らす――色数と素材数を絞る
使う色と素材の種類を絞り込むことは、統一感をつくる近道です。床・壁・天井といった大きな面に使う素材の種類をある程度絞り、そこに家具や照明でアクセントを加える構成にすると、まとまりが出やすくなります。素材の種類が減れば、発注や施工の管理もシンプルになり、結果としてコスト面で有利に働く場合もあります。
■ 開業後に増えていくものを想定しておく
忘れられがちなのが、開業後に増えていきやすい掲示物の存在です。メニュー、キャンペーンの告知、注意書き、支払い方法の案内。これらを貼る場所をあらかじめ決めておかないと、既存の壁やガラス面に後から貼り足され、せっかくの仕上げが見えにくくなってしまいます。掲示スペースの位置とサイズ、掲示物のフォーマットまで含めて計画しておくと、開業後も一貫した見え方を保ちやすくなります。さまざまな業態での空間のまとめ方は、施工事例ページもご参考ください。
両立を実現する進め方|図面段階で押さえたい検討の順番
デザイン性と機能性の両立は、感覚やセンスだけで決まるものではなく、検討の進め方によって精度が変わります。ここでは、設計の段階で意識しておきたい流れを整理します。
■ ステップ①:コンセプトを判断の軸にする
「誰に、どんな時間を過ごしていただくお店か」が定まっていると、意匠と機能のどちらを優先するか迷ったときの判断基準になります。たとえば滞在時間の長い業態であれば座り心地や音環境を優先し、回転を重視する業態であれば動線の短さを優先するといった具合に、判断のぶれが小さくなります。
■ ステップ②:レイアウトと動線を先に固める
意匠の詳細に入る前に、席の配置、厨房や作業スペース、お客様とスタッフの動線を確定させておくと、後戻りが減ります。動線が交差する場所や、荷物を持って通る幅が足りない場所は、平面図の段階でこそ発見しやすいものです。座席配置と動線の考え方は、回転率を上げる座席配置と動線でも取り上げています。
■ ステップ③:設備計画を意匠と同時に走らせる
給排水、電気容量、空調、換気、防災設備。これらの条件を意匠の検討と並行して確認しておくことで、前章で挙げたような後出しの調整を減らせます。設計と施工が一貫していると、この並走がしやすくなります。
■ ステップ④:スタッフの一日をシミュレーションする
図面が固まってきたら、開店準備から閉店作業までの流れを、実際の動きに沿って追ってみることをおすすめします。「仕込みの動線」「配膳の経路」「会計の手順」「清掃の順番」を頭の中で再現すると、図面上では気づけなかった不具合が見えてくることがあります。
■ ステップ⑤:原寸で確かめる
図面や完成予想図だけでは、実際の距離感や素材の質感は伝わりにくいものです。私たちアースラインでは、現場に図面どおりの寸法でテープを貼って通路幅や席の間隔を体感していただいたり、照明や家具はショールームや実物のある店舗で確認していただいたりする進め方を大切にしています。仕上げ材のサンプルは、実際に使う照明の光の下で見ると印象が変わることもあります。こうした一手間が、完成後の「思っていたのと違う」を減らすことにつながります。
見えない部分の設計と予算配分|表側の美しさを支える裏側の計画
最後に、完成後の印象を長く保つうえで重要になる、バックヤードと予算配分の考え方に触れておきます。
■ 表側の美しさは、裏側の余裕に支えられる
客席まわりの見た目に予算を集中させ、バックヤードを最小限に切り詰めた結果、置き場を失ったものが表側にあふれてしまう。これは実際によく起こる展開です。ストック置き場、清掃道具の収納、スタッフの荷物置き場、ゴミの一時保管場所。こうした裏側のスペースが確保されているかどうかが、開業から数年後の店内の状態を左右します。搬入経路やゴミ出しの動線も、同じく早い段階で確認しておきたい項目です。
■ 清掃のしやすさを仕上げに織り込む
維持しやすさは、素材と納まりで大きく変わります。手の触れやすい壁面や、油や水がかかりやすい床まわりには、拭き取りやすい仕上げを選ぶ。床と壁の取り合いに掃除しにくい隙間をつくらない。什器の脚まわりに掃除機やモップが入る余地を残す。こうした細かな配慮の積み重ねが、日々の負担を軽くしていきます。
■ 予算はメリハリをつけて配分する
限られた予算をすべての面に均等に配分するより、お客様の視線が集まる場所と、毎日の作業効率に大きく関わる場所に重点を置くほうが、費用対効果を実感しやすくなります。エントランスから席に着くまでの導入部、正面に見える壁面、料理や商品が置かれる面。これらは印象を大きく左右する一方で、バックヤードの仕上げは機能性を満たす合理的な仕様で十分なケースが多いものです。
■ 削りにくい部分を見極める
コストを調整する際、判断が難しいのが「後から変えにくいもの」です。給排水や電気容量、空調・換気の能力、下地や造作といった部分は、開業後に手を入れると営業を止める必要が生じることもあります。一方で、装飾や小物、グリーン、サイン類は後からでも追加しやすい要素です。この見極めを早い段階で行うことが、無理のない予算計画につながります。費用の考え方や進め方については、費用目安ページもあわせてご覧ください。
まとめ|見た目と機能の両立は、店舗デザイン・設計・施工の一貫した計画から生まれる
洗練された空間の正体は、統一感・余白・光の質・ノイズの少なさという、計画で近づける要素の積み重ねです。そして機能性とは、お客様・スタッフ・お店の三つの立場にとっての使いやすさを指します。この二つがぶつかるのは素材やテイストのせいではなく、検討の順番と体制に起因することが多いものです。コンセプトを軸に、レイアウトと設備を意匠と並走させ、見えない部分にも余裕を残す。この進め方が、開業後も美しさを保てる空間につながります。
株式会社アースラインは、23年以上の実績と、重飲食からミシュラン掲載の高級店まで幅広い業態を手がけてきた経験を活かし、企画・店舗デザイン・設計・施工をワンストップでご提供しています。東京23区を中心に全国対応が可能です。「デザインにもこだわりたいが、働きやすさも譲れない」というご要望も、ぜひ初期段階からお聞かせください。
株式会社アースラインです。お知らせなどを発信しています。
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